20代半の夫妻の住まい

更新

変化に応じて変われる家を

これから40年住めるように使い方をあまり限定しませんでした。 玄関から居間に足を踏み入れると、壁一面の本棚が目に入ります。 そばに寄って背表紙を眺めると、社会思想の本が多いなか、最下段の3列が住宅、建築関係の本で埋まっています。 家づくりの実用書だけでなく建築文化論や建築史まで幅広く取り揃えられています。 読書家のご主人いわく「空間の用途を限定しすぎないこと、生活の変化に対応できる家にしておくことが大事なんだということを、本から学びました」だそうです。

でき上がった家は、この点がきちんと押さえられていました。 南の庭に面した明るいキッチンとダイニング。 東側はL字形ソファのある落ち着いた居間、その中間地帯に本がいっぱいの吹き抜け空間、1階全体がひと続きで、そのなかに性格の違うコーナーが展開されています。 仕切りがないから、どんな住み方もできそうですね。

この土地には以前、築30年を経たご主人の実家がありました。 マンション住まいを始めた両親と入れ代わりに斎藤さん夫妻が住んでいたのだが、「とにかく冬は寒くて、台所の水切りカゴにうっすら氷が張るほどでした」と奥さんは言います。 3年間住んだ後、建て替えを決めた。20代半の夫妻にとって人生の後半はまだ未知数です。 いずれは親と一緒に住むかもしれない。 この40年住める家、変化に対応できる家にする必要があったのです。